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第153回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和7年6月5日(木) 午後2時~3時15分
場 所 安曇川公民館 ふじのきホール
内 容 話題提供と意見交換
話題提供 「高齢ドライバーの免許更新とその背景」
話題提供者 滋賀県高島警察署 交通課 企画規制免許係
巡査部長 澤田 佳巳 氏
今回は「高齢ドライバーの免許更新とその背景」について、滋賀県高島警察署より話題提供していただきました。
県内で高齢化率が最も高い高島市は、すなわち高齢ドライバーも多い地域ということになります。高島市内では、交通事故で人身事故となった約半数が高齢者が関わるものとなっています。市内でも全国でも命を落とされる悲しい高齢者事故のニュースが後を絶ちません。高島市の事故の特徴は、交差点の事故、信号無視、高齢者の事故が多いということです。
運転免許証の90歳以上の保有者は、滋賀県では1,606人、高島市では137人となっています。
運転免許証の自主返納の65歳以上の件数は、4月以降 滋賀県では5,170人、高島市で172人です。返納理由は、「身体が悪くなった」や「息子や娘に運転を止められた」等、様々な事情で返納に来られているということでした。令和元年に池袋であった大きな事故の後は返納された数が全国で最も多くなり、その後はコロナの影響もあったせいか減少し、令和6年度は5年振りに前年増となったということです。
75歳以上の運転免許保有者には、更新時に「認知症検査」が義務付けられています。運転をしてもよいのかどうか重要な検査で、100点満点で36点以下は10人中2・3人で、「認知症の疑いあり」と判断されて、医師の診断が必要となります。その結果、更新できない人は1人位であるということでした。運転して家に帰れず行方不明になったりしないように、家族との相談や協力が必要となります。
高齢者事故の特徴
○身体機能の低下 ハンドルやブレーキ操作の誤り、遅れ、アクセル、ブレーキの踏み間違い
○動体視力の低下 周囲の状況が的確に把握できず、危険の発見が遅れる
○認知機能の低下 複数の情報を同時に処理、瞬時に判断できない → 高速道路の逆走
○自分本位な運転 交通環境を把握できないので、自分勝手な運転をして、事故を起こしがち
認知症や脳疾患、心疾患等、車の運転に注意が必要な方があれば、本人や家族に警察に相談するようにすすめてほしいということでした。相談や情報提供があれば、防ぐことができた事故があるかもしれません。
意見交換では
・自主返納をした後、公共交通機関を利用する方法の勉強会があるとよい
・免許を返納しても代替手段がないとフレイルや閉じこもりになってしまうので、生活の支援や地域の資源を
知る必要がある
・乗り合いバスやタクシー 行きたい所に行けない。料金の負担免除や台数を増やす等が必要
・車の維持費を考えれば、タクシーの方が経済的に優しいということもある 等
生活する上で買い物や受診等、車での移動は高島市ではなくてはならないものとなっていますが、その手段が適切かどうかは見極めが必要であり、専門職として事故の未然防止に声をかける必要があります。またこの地域で誰もが暮らしやすくするための方策や交通弱者への支援は考え続けなければいけないと感じました。
◆次回の予定 第154回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
日時:令和7年7月3日(木)14:00~15:15
会場:安曇川公民館 ふじのきホール
内容:話題提供 「地域の中で助け合うまちづくり」(仮)
話題提供者 元気な仲間
「医師と多職種との座談会」を開催しました
日 時 令和7年5月30日(金) 午後3時20分~4時
場 所 ウエストレイクホテル可以登楼 2階レインボー
内 容 「医師と多職種との座談会」
参加者数 医師 16名 (市内の病院、診療所等より)
多職種 24名 (介護支援専門員12、看護師3、相談員3,理学療法士1、
作業療法士1、言語聴覚士1、管理栄養士1、保健師2)
お互いの職種の役割を理解し、効果的に連携をすすめて、在宅療養者等の支援ができることを目的に、今回は座談会という形で意見交換を行いました。
「高島市医療連携ネットワーク運営協議会」は、2011年から開始し15年目に入り150回を超えています。
高島市での顔の見える関係づくりはできてきていると行っても過言ではありません。それでも、医師と面と向かって話をすることは、「敷居が高い」と尻込みされることがまだまだあります。
今回は、市内の先生方にご協力をいただき、ざっくばらんな意見交換の場を持っていただきました。
グループに分かれて、聞きたかったことを質問したり、先生方の苦労話を聞かせていただいたり、和やかに笑い声も絶えず、どのグループも話が盛り上がっていました。
最後に参加いただいた先生方から、自己紹介とメッセージをいただきました。
「チームで高島のレベルが他よりも高いと言われるようなことをしていきたいと思っています。もうなっ
ているかもしれませんが、皆さん一緒に頑張っていきましょう。」
「あまり介護の方々と接点はないですが、高齢者の方相手なので、耳のことや嚥下、発声等とかいろいろ
問題がある人も多いと思いますので、気軽に相談してもらったらいいと思います。」
「地域の皆さんとコミュニケーションをとって、先生方とコミュニケーションをとって、心不全の方も他
の皆さんも元気になってもらえるといいなと思っています。」
「地域医療1年生です。皆さんと一緒に勉強させていただこうと思います。」
「顔の見える関係は大事だと思いますけれど、高島においては、できれば医師も歯科医師も看護師も、
ケアマネさん、ヘルパーさん、皆対等な関係になってほしいなと思っています。上下関係はないんです
から、専門職として対等な関係を築けるようになってくれたらと願っています。」
「高島はこういう地域なので、先生方にこういう場に出て来ていただいて、こんなことをやっているのか
とわかってもらえたら、他の人たちに向けて顔を合わせるというか、情報を入れることが大事だと思
います。」 等
各先生方から、心強い、あたたかなメッセージをいただくことができ、励みにもなりました。
次に連絡を入れる時には、気負わずに電話をかけて、市民の皆さんを支えるという目的を共にして頑張っていきたいと思います。
ご参加いただいた皆さま ありがとうございました。
第152回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和7年5月1日(木) 午後2時~3時15分
場 所 安曇川公民館 ふじのきホール
内 容 話題提供と意見交換
話題提供 「介護予防の取り組み」
話題提供者 高島市 健康福祉部 高齢者支援課(地域包括支援センター)
保健師 前川 華澄氏
今回は「介護予防の散り組み」について、高島市高齢者支援課(地域包括支援センター)から話題提供していただきました。
高島市は人口が減少してきていますが、今後しばらく高齢化率は上昇していきます。
「元気な高齢者を増やすこと」「地域での高齢者の活動拠点と住民主体の取り組みを実践できる人材育成」を目指して、さまざまな介護予防事業がすすめられています。
フレイル予防 「運動機能向上教室」・・下肢筋力の低下防止や膝痛、腰痛の改善等
「生活機能向上教室」・・日常生活を措定した動作訓練や創作活動等
「通所型サービスC」・・短期集中的な運動機能向上のための訓練
地域で・・「介護予防出前講座」「オンライン体操教室」「あしたの体操」「介護予防体操」
「地域リハビリテーション支援事業」
個人で・・「介護予防の動画作成」YouTube等で公開
いろいろなシーンに合わせて、個人や地域で取り組めるプログラムがたくさん揃っています。
参加されている高齢者からは「区の行事として定着した」「運動だけでなく、人と関わり話すことも必要として、継続することを軸にしています」といった声が届いているということでした。
市側も話を聞くことで、”市全体の高齢者が元気になるヒントを得られた”ということです。
元気な高齢者が増えるメリット
・QOLの維持向上、自分らしい生活を続けることができる
・サービス利用にかかる経済的な負担の軽減
・地域で活動する方が増えることで、地域の活性化
・介護認定やサービス提供にかかる費用の軽減
医療や介護分野との連携により、早期に情報を把握して予防に努めたり、何故防げなかったのか等を検証したり、ニーズの把握に努め、地域課題を見据えた活動につなげていきたいということでした。
意見交換では、「病院等の現場でも、地域の取り組みを知っておくことが必要」「予防には歯も大事」「男性は参加しにくい。趣味を活かした集まりがあるとよい」等の声がありました。
できる限り自立した生活が続けられるよう、予防の視点を大切に、今後も医療と介護の連携で健康寿命を延ばす取り組みをすすめていきましょう。
◆次回の予定 第153回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
日時:令和7年6月5日(木)14:00~15:15
会場:安曇川公民館 ふじのきホール
内容:話題提供 「高島市管内の交通安全活動等について」(仮)
話題提供者 滋賀県 高島警察署 交通課
第151回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和7年4月10日(木) 午後2時~3時15分
場 所 安曇川公民館 ふじのきホール
内 容 話題提供および自己紹介と意見発表
話題提供 「湖西圏域の高次脳機能障害の支援状況について」
話題提供者 高島市障がい者相談支援センター コンパス
センター長 杉島 隆氏
話題提供 「滋賀県における高次脳機能障害支援について」
話題提供者 滋賀県高次脳機能障害支援センター
精神保健福祉士・公認心理師 田邉 陽子氏
今回は、高次脳機能障害について、高島市障がい者相談支援センター コンパスと滋賀県高次脳機能障害支援センターから話題提供していただきました。
コンパスは、令和6年度から委託を受けて、高次脳機能障害者の相談支援を実施されていて、「湖西圏域高次脳機能障害連絡調整会議」というネットワークができています。
高次脳機能障害は、事故や病気で脳が損傷を受けて引き起こされる脳の後遺症で、気づきにくく理解されにくい障害です。人生の途中で偶然にあった中途障害です。感情がコントロールできず、易怒性があったりするためどのように支援をしたらよいか迷い悩むことが多くなります。ご本人自身も感情的に怒ってしまったことにとても落ち込んでしまわれるということも知りました。障害のある方とご家族等を支えるためには、関係者が学び、相談機関やサービス等を知ることが大切です。
支援のポイント
1. 複数の関係機関で連携し、チームで関わる
定期的に個別支援会議を開催
2. 相談してもらう関係性を構築する
本人が理解しやすい手段を使う(図で示すなど)
事例や関係するさまざまな機関、社会資源等について知り、相談しながら連携してチームで支えていくことがとても重要であることを学ぶことができ、とても良い機会となりました。
就労や家族関係の調整、介入等、相談が必要な課題は多岐にわたります。また、医療も福祉もまだまだニーズに応えられていない現状であることも課題として大きいことがわかりました。市民の皆さんが困った時に頼れる機関となるように力量をつけていかなければいけないと感じました。
たくさんの情報をいただき、今回は参加者1人ずつ自己紹介も兼ねて、質問、感想等を発表していただきました。異動のあった方、初めての参加の方もあり、20か所を超える機関の多職種の皆さんとの顔の見える会となりました。また、高次脳機能障害の方を支援されている方が多かったことが驚きで、つながれる良い機会となりました。
こらからも各関係機関が連携してチームで支援し、誰もが尊重され、自分らしく暮らしていける高島市にしていきましょう。
◆次回の予定 第152回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
日時:令和7年5月1日(木)14:00~15:15
会場:安曇川公民館 ふじのきホール
内容:話題提供 「介護予防の取り組み」
話題提供者 高島市 健康福祉部 高齢者支援課
「多職種連携セミナー」「第150回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和7年3月8日(土) 午後5時~7時
場 所 安曇川公民館 ふじのきホール
内 容 講演と実践報告
座長 長岡 伊織先生 ながおか医院 院長
講演 「開業医から見た心不全連携のポイント」
講師 八木 典章先生 南草津ひだまりハートクリニック 院長
講演 「維持期の心臓リハビリテーションの実際とおさえておきたい要点」
講師 澁川 武志先生 南草津ひだまりハートクリニック
理学療法士・心臓リハビリテーション指導士
座長 杉岡 あすか先生 ながおか医院 看護師・心不全療養指導士
実践報告 竹本正樹氏 今津病院 医療ソーシャルワーカー
南橋勇輝氏 ナースステーションひより 看護師
山本暁氏 マキノ病院 訪問リハビリテーション 理学療法士
山本一恵氏 きらり今津北 介護支援専門員
林真吾氏 りんご薬局 薬剤師
今回は、「心不全」を中心として多職種連携を考え、「チーム医療」に取り組んでおられる南草津ひだまりハートクリニックから医師と理学療法士・心臓リハビリテーション指導士を講師としてお招きし学ばせていただきました。
また、市内の5つの関係機関のそれぞれの職種から、療養者を支える多職種の現状について、実践報告していただきました。
講演では、事例やデータに基づき、心不全に関する在宅での療養について、ADLの低下予防や悪化予防を目指して、多職種で情報を共有して相談支援されていることを学ばせていただきました。
多職種が顔の見える関係をつくって、コミュニケーションをとっていくことが何より大切であることを話されていました。職種によって、理解できることや判断できること等に違いがあります。これはどうなんだろうと思った時は、まず聞くことが大切で、それぞれの職種が持つ知識や視点によって、見方も変わるため多職種で共有し話し合うことが重要で、そこで有効な判断ができることがわかりました。それがリスクマネジメントになるということでした。
実践報告では、各職種からの取り組み、困っていることを報告していただきました。
心不全連携に関して、立場や職種、役割や困りごと、持っている情報の差がありますが、療養者の病気の悪化予防を目指して、日々療養の支援に奮闘してくださっています。
今回は時間がなくなり、参加していただいた皆さんと話し合うことができませんでした。大変申し訳なく思っています。
アンケートから
「判断が難しい病気だからこそ、それぞれの職種の強みを生かしてチーム医療に携わることが大切だと痛感しました」「地域での多職種連携の重要性が事例を通してよくわかった」
高島市での多職種連携がさらにすすむよう、皆さんからの意見も併せて、改めて機会を設けて、次に活かしていきたいと思います。
◆次回の予定 第151回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
日時:令和7年4月10(木)14:00~15:15
会場:安曇川公民館 ふじのきホール
内容:話題提供「高次能機能障害について」(仮)
話題提供者 滋賀県高次能機能障害支援センター
高島市障がい者相談支援センター コンパス
第149回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和7年2月6日(木) 午後2時~3時20分
場 所 高島市役所 新館3階 会議室11
内 容 話題提供および意見交換
話題提供 「高島市権利擁護支援センターのご紹介と
権利擁護支援における課題と展望について」
話題提供者 高島市権利擁護支援センター(高島市社会福祉協議会)
センター長 松本 道也氏
包括化推進員 山﨑 雅也氏
今回は「高島市権利擁護支援センターの活動 権利擁護支援における課題と展望について」と題して、話題提供していただき意見交換を行いました。
高島市権利擁護支援センターは、2023年に成年後見制度利用促進法に基づく中核機関を高島市社会福祉協議会成年後見サポートセンターと高島市くらし連携支援室が協働運営するようになったことを契機に、2024年に高島市成年後見サポートセンターから名称変更されました。
事業内容:①成年後見制度の利用に関する相談や支援(一般相談と支援者支援) ②成年後見制度の広
報・啓発・研修 ③成年後見や権利擁護支援に関する関係機関の連絡・調整・高島市権利擁護
支援ネットワーク委員会の運営 ④成年後見を行う組織や人材育成
権利擁護の定義は、憲法25条の生存権にある健康で文化的な最低限度の生活の確保、不当な差別や虐待等の権利侵害からの回復といった狭義のものから、憲法13条の幸福追求権にある、自分の存在に意味や価値があることが人との関係の中で認められ、自分らしい暮らしを歩めること。そのために、社会参加を支援するなど、意思決定支援を通じて自己実現を進めるといった、より積極的なものへと広がっていこうとしています。
例えば、権利擁護支援のための制度の一つである成年後見制度も、本人の権利が過剰に制限されることなく本人の意思が最大限尊重されるよう、また、必要な期間で終わることができるよう法制審議会で議論がされており、今後の民法改正の方向性の一つとなっています。
そして権利擁護の対象も、判断能力が不十分な人への支援から、判断能力の有無によらず自立や社会参加に支援が必要な人へと広がっていて、「身寄り問題」等の新たな課題も出てきています。
「身寄り問題」では、これまで入院や入所など、いざという時に家族や親族が対応する”家族モデル”を前提にして作られてきた制度や仕組みが、”単身化”の進行によりそれでは対処できなくなってきていることが問題になっています。
これらの問題については、いざという時のために、早期から本人の意思確認を行い、意思決定をチームで支援する取組が大切になること。また、制度や仕組みのひずみを解消していくための鍵は、関係機関の主体的な参加と協働、協力であるということでした。
意見交換では、意思決定支援に関して①「たかしまマイウェイノート」等を、どんな場面で活用していけるとよいか、自身の業務にどう活かしていけるか。②どんなメンバーでチームを組んで、意思決定支援の取組を行っていけるとよいかについて話し合いました。
「たかしまマイウェイノートは、元気なうちから、どうしたいかを書いてもらう必要がある」「聞きだし方が難しい」「中には「放っておいて」という方もあり、受け入れられない人への関わりをどうしていくとよいか」「チームメンバーは、その都度変わっていく。関わる人たちで共有していくことが必要」など様々な意見が出され、意思確認は、日常における些細な意思表明の積み上げや、意思を聞いてくれる人がいるという状況を作っていくことが大事。それが重要な場面での意思の確認につながっていくとの助言がありました。
意思決定支援は、医療や福祉、介護に関わる私たちにとって、とても大切な事です。誰もが自分らしく最期まで生きられるよう支援するため、普段から一人ひとりの希望や思いを丁寧に聴きとり、チームで確認し共有していきたいものです。
「たかしまマイウェイノート」の周知や活用等についても多くの意見をいただき、今後に活かしていきたいと思います。
◆次回の予定 第150回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
「多職種連携セミナー」
日時:令和7年3月8(土)17:00~19:00
会場:安曇川公民館 ふじのきホール
内容:「心不全の地域連携について」
講演と実践報告、意見交換
*「活動内容」→「医療・介護関係者の研修」を ご確認ください。
第148回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和7年1月16日(木) 午後2時~3時20分
場 所 新旭公民館 多目的ホール
内 容 話題提供および意見交換
話題提供 「大津圏域と湖西圏域間の連携の現状や課題および今後の展望」
話題提供者 大津赤十字病院
副院長・患者支援センター長 片倉 浩理先生
医療社会事業部 地域医療連携課長 長谷川 豊氏
患者支援センター 退院調整師長 森田 美砂氏
今回は、大津赤十字病院よりゲストをお迎えして、大津赤十字病院の取り組みや救急搬送の状況、紹介患者の状況と高島市との連携等についてご紹介いただき、意見交換を行いました。
令和5年度の主な取り組みとしては、新型コロナウイルス感染症が感染症法5類移行に伴った対策の変更、救急医療・災害医療への対応としてラビッド・ドクターカーの運用開始等があり、救急搬送受入件数の増加等がありました。紹介患者数は年々増加し、令和5年度には21,985件となり、前年度より1.9%の増となっています。
医療圏域別の紹介割合では、大津市内が81%とほとんどを占め、次いで京都府内からが7%、湖西圏域と湖南圏域が3%となっています。高島市内で最も多いのは、高島市民病院で393件、マキノ病院 96件、今津病院 58件、市内の各開業医から457件となっています。
患者支援センターでは、高島市民への退院支援が今年度4月~12月で70件や高島市内の各病院への転院支援等をしていただいています。また、かかりつけ医相談窓口を設けて、かかりつけ医がいない方への相談も担っていただき、転院や在宅への退院がスムーズになる取り組みも大切していただいています。
意見交換では、連携する上で困ることやどのようにすると連携しやすくなるか等、各関係機関から多くの意見が出されました。地域に安心して帰ってもらうための体制づくりが高島市全体を一つとしてさらに必要であることが分かりました。
大津赤十字病院は高度の医療を担う医療機関で、高島市にとってはなくてはならない病院です。今後も各関係機関が役割を発揮し、さらに連携を深めていきたいと思います。
◆次回の予定 第149回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
日時:令和7年2月6(木)14:00~15:15
会場:高島市役所 新館3階 会議室11
内容:話題提供 「高島市権利擁護支援センターの活動
~成年後見や権利擁護の現状と課題、意思決定支援~」
話題提供者 社会福祉法人 高島市社会福祉協議会
高島市権利擁護支援センター
第147回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和6年12月12日(木) 午後2時~3時15分
場 所 新旭公民館 多目的ホール
内 容 話題提供および意見交換
話題提供 「防災と保健・福祉の連携による個別避難計画の作成について」
話題提供者 高島市 健康福祉部 社会福祉課
主任 梅村 淳氏
今回は「防災と保健・福祉の連権による個別避難計画の作成について」と題して、話題提供していただきました。
高島市が2008年に障がい者市民のための防災懇談会を開催した際に、当事者から「災害時、他人をあてにすることはできない」「大きな災害が起こったら、医療器具などの設備が整った医療施設に避難できなければ、命を守ることができない」「近所と関わることもほとんどない」等の意見がありました。また、支援者からは「障がいについてほとんど知識や情報を持っていない」「日頃から付き合いがないと、その人にどう関わっていいのかわからない」「一緒に話し合い、理解し合える場が必要」との声がありました。この課題提起を出発点にして、全国に先駆けて関係機関の連絡会の発足やモデルプランの作成が進み始めました。
2022年からは、障がい者だけでなく、高齢者、障がい児も含めて、市全域で本格的に取り組んでいます。高島市の取組は、当事者、専門職、地域、市社協、関係者、行政等が長時間かけて制度を作ってきた「オール高島」の取組です。
こうした取組により、当事者・地域の安全安心 + 地域のつながりの再構築につながっています。個別避難計画を作ることによって、何よりも人命が助かる可能性を高めることにつながります。また、計画を作成する過程も大事にしています。個別避難計画は手段であり、最終目標はだれもが住み続けることができる地域共生社会の推進、地域づくりにつなげることです。
当事者の命を守る「個別避難計画」の作成のためには、当事者の状況や関係者等を良く知り、信頼関係もできている専門職との連携が必須です。さらには、庁内連携、庁外連携の体制づくり、役割分担、推進協議会の設置等と併せて実効性を高める訓練の実施等を行っています。
これらの取組から、①本人同意・地域同意の取得が困難な場合がある ⓶丁寧な取組⇔手間・時間のかかる取組 ③作成した計画の更新のタイミング等の課題も出てきています。
課題とともに、この取組は社会から求められている取組であること、地域のみんなが助かる防災をデザインする取組であることも再確認できたということです。平時から連携して取組を推進することが大切で、地域づくりにつながっています。
意見交換では、「訓練を行うことで、地域の団結力が高まった」「当事者を交えて行うことで、具体的な課題や解決が出てくる」「施設や事業所ではBCPの取り組みで、地域の人との関わりをどうするといいかも問われている」等、市全体、地域一丸となってすすめていくことが重要であることが話し合われました。
平時でもどんなことが起こっても、ご本人やご家族、多職種や地域の多くの方々、みんながどこかでつながっていることの大切さを再確認できた機会となりました。
◆次回の予定 第148回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
日時:令和7年1月16(木)14:00~15:15
会場:新旭公民館 多目的ホール
内容:話題提供 「大津・湖西圏域間の連携の現状や課題および今後の展望」(仮)
話題提供者 大津赤十字病院
副院長 兼 患者支援センター長 片倉浩理先生
地域医療連携課 課長 長谷川豊氏
退院調整師長 森田美砂氏
「薬剤師・訪問看護師・介護支援専門員 合同研修会」開催しました
日 時 令和6年11月16日(土) 午後2時~4時
場 所 安曇川公民館 ふじのきホール
内 容 『専門職同士での難事例へのチームアプローチ』
1.事例報告
①ケアプラン元気な仲間 介護支援専門員 上松 緑氏
②リハビリ訪問看護ステーションWalk 看護師 土井 淳史氏
③とうじゅ薬局 薬剤師 山川 邦之氏
2.意見交換(グループワーク)
3.質疑応答
4.講評 高島市医師会 会長 松本 道明先生
参加者 26名
「薬剤師・訪問看護師・介護支援専門員 合同研修会」を開催しました。
今回は、専門的な治療を望み多数の医療機関での治療を長年受けてこられた事例で、薬局もそれぞれ違っていました。医療機関を変わりたくない本人や家族の想いを受け止めながら調整に苦慮された事例でした。
3職種それぞれの立場や視点から、連携してチームできめ細やかにアプローチし、少しずつ医療機関や薬の調整、サービスの導入等が行われました。訪問看護では、100に近い程丁寧に各医療機関と電話や手紙で報告や相談を繰り返され、薬剤師も主治医への相談や報告を重ね、本人も家族も納得した形で安定した生活を送れるようになった報告をしていただきました。
訪問看護や薬剤師による居宅療養管理指導が入ることで、各専門職が分担して適切なサービスを提供することが可能となりました。
意見交換では、それぞれの職種の課題や悩み等も出し、どのグループでも活発に話し合いが行われました。薬剤師がサービス担当者会議に出席してもらうことは、なかなか厳しい現状ですが、情報共有やまずは相談してみることが大事であることがわかりました。顔の見える場でさらに連携を深めていく良い機会となりました。
参加者の意見(アンケートから)
・相互理解の為、専門職種の話し合いが更に必要
・在宅でのその人の生活の仕方や方法など、皆で共有できると支援がスムーズにできる
・3つの職種が一堂に話ができたことで、在宅の現状、薬局の現状を共有できた 等
この合同研修会は、薬剤師、訪問看護師、介護支援専門員の役員さんたちが、司会や座長を担い、進めてくださいます。報告してくださる3職種の方も含めて、皆さんの意気込みや熱い想いにあふれた研修会となりました。まだ参加したことがないという方も、今後ぜひ参加していただきたいと思っています。
そして、これからも顔の見える多職種での会を重ね、連携して市民が暮らしやすい高島市を目指していきたいと思います。
第146回高島市医療連携ネットワーク運営協議会を開催しました
日 時 令和6年11月7日(木) 午後2時~3時15分
場 所 安曇川公民館 ふじのきホール
内 容 話題提供および意見交換
話題提供 「高島市における救急の現状と課題 」
話題提供者 高島市消防本部 警防課
参事・消防指令 小堀 高志氏
今回は「高島市における救急の現状と課題」と題して、話題提供していただきました。
急病や事故等、何あった時には救急車を要請することが、命を守る大切な方法です。人口の高齢化に伴い、高齢者の救急車の要請が多くなってきていて、市内では年間3,100件を超える救急出動要請が入ります。そのうち約8%が不搬送で搬送の必要がなかったということになります。
救急車の搬送先は、市内の中核病院である高島市民病院が80%近くで、次いでマキノ病院が12%程度となっています。また9%程度が市外病院へ搬送されています。ドクターヘリは基準に相当すれば要請し、要請件数は市内で年間40件程度で、県内の20%前後となっています。
救急搬送される人は、高齢者が72%で最も多く、内容は急病が65%程度を占め、次いで負傷が15%程度、事故が5%程度となっていますが、約半数が軽症で入院治療を必要としないものとなっています。
現場到着所要時間は、令和5年度は 全国 10.3分、滋賀県 9.4分で、高島市は 8.3分と少し短くなっています、しかしここ数年少しずつ長くなっています。救急車の要請連絡が入り、住所が確認できれば直ぐに救急車は現場へ向かいますが、要請が増えていたり、近くの消防署の救急車がすでに他へ出動していたりすることで、到着に時間がかかっているのが現状です。
課題としては、①頻回利用者、②軽傷利用者が半数を占めている、③現場到着時間の増加傾向、④ACPやDNRの問題等があります。
課題解決のために、介護や福祉等関係機関との連携をすすめ、情報共有や相談体制づくり等、協働していく取り組みや市民の皆さんにも啓発し理解を深めてもらう取り組みをされています。
意見交換では、4つの課題がそれぞれが絡み合って影響していることがわかったことや、地域の方や関係者が見に行って声をかけるだけで、安心されて救急車を呼ばなくても良くなった事例等もあり、つながりが大事であるということが挙げられました。また、まず訪問看護に連絡してもらうことや主治医との連絡、ターミナル期の本人の意思確認と家族の理解が必要等の意見がありました。ACPやDNRは、誰もが考えておかなければならないことで、その啓発の必要性を救急活動の中からも学ばせていただき、参加された皆さんと共に継続して考えていくことの重要性を新たにしました。
◆次回の予定 第147回 高島市医療連携ネットワーク運営協議会
日時:令和6年12月12(木)14:00~15:15
会場:安曇川公民館 ふじのきホール
内容:話題提供 「高島市の防災と保健・福祉の連携促進モデルについて」
話題提供者 高島市 健康福祉部 社会福祉課
梅村 淳氏